2010年7月31日 読売新聞東京本社 朝刊
新聞記事の画像

◆上位・下位 固定化も

文部科学省は30日、4月20日に実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト、学テ)の結果を発表した。4回目となる今回は、民主党政権の方針で全員調査を中止、全小中学校の約30%を抽出する方式で行い、約1万校の小学6年、中学3年の計約74万人が対象になった。抽出化により、都道府県別の平均正答率は1〜2%程度の幅のある数字で示され、正確な順位は表せなくなった。今回、第1回当時の小6が中3になって参加、基本の図形問題で小6当時と同様に間違える生徒が目立つなど、つまずきが克服できていない実態も分かった。

実施教科は、小6が国語・算数、中3が国語・数学で、それぞれ基礎知識を試すA問題と応用力をみるB問題がある。A問題は今回、難度が下がったとみられ、数学Aを除き3分野で80%前後の高い平均正答率だった。B問題は、算数・数学とも平均正答率が50%に満たないなど引き続きふるわず、国語でも「新聞記事を読んで感想を書く(中3)」(正答率52.6%)などの記述式問題で特に課題がみられた。

これまで小数点以下第1位までの数値で示されていた都道府県別の平均正答率は、「79.1〜80.6%」のように「平均正答率が含まれる範囲」で示された。小中とも秋田、福井が上位を占めるなど、特に中3で上位・下位が固定化する傾向がみられた。一方、小6で昨年まで下位だった山口や高知が、B問題で中位〜上位に浮上するなど、独自の学力向上策で一定の成果がみられた県もあった。

抽出調査になったことで、市町村別や学校別のデータの比較ができなくなり、平均正答率の低い自治体に教員を重点配置したり、学級ごとに対策を講じたりというきめ細かな指導が行えなくなった。

また、今回、抽出に漏れた学校の6割にあたる小中学生約89万人も希望参加方式で参加したが、希望参加の場合、学校などで独自採点・分析をするため、正確なデータの把握は難しくなった。

文科省は30日、希望参加校が自己採点の結果を分析するためのソフトを配布、結果の詳細を同省HPでも公開した。

◆直径×円周率=円の面積?

今回の学テで初めて明らかになった、同じ子どもたちの小学6年時と中学3年時の比較。例えば、今回、中学数学A問題で出された円柱の体積を求める問題の正答率は43.2%で、生徒全体の11.9%は円の面積の求め方を「直径×円周率」などと間違えていた。小6の時に出た、円の面積の問題(正答率73.2%)でも約1割が同じ誤りをしており、テスト結果を指導に生かせていない現状の一端が浮かんだ形だ。