2008年5月27日 読売新聞東京本社 夕刊
新聞記事の画像

発達障害の子供を教室で支える仕組みが広がる。

机に置かれたキュウリの苗に、真剣なまなざしが注がれる。葉っぱを裏返したり、においをかいだりしながら、気づいた点をノートに記していく子供たち。「発表したい子はいますか」との担任の言葉に、真っ先に手を挙げたのは拓也君(仮名)だった。

「葉が緑。ざらざらしている・・・・・・」とノートを読み上げていく拓也君。「葉がアリに食べられやすい」との発言に、「アリは葉っぱを食べるんですか」と質問が出た。なかなか答えられないのを見かね、拓也君の横についていた特別支援教育支援員の女性(45)が「ギザギザした形が、アリが食べたように見えたんだよね」と助け舟を出した。

長野市立三本柳小学校の2年生の国語の授業。広汎(こうはん)性発達障害がある拓也君は対人関係を築くのが苦手で、漢字の勉強が不得意だ。4月から支援員がサポート役として授業に入る「入り込み指導」が行われている。

「授業が分からないと教室から出ていってしまうこともあった。隣について指示を出してもらうと、集中して意欲的に取り組む」と担任。支援員も「気づいた点がたくさん書けたので満足していた。集団の中での支援なので、トラブルが起きた時の、ものの言い方も教えられる」と話す。

学校が子供の発達障害を、どうやって保護者に理解してもらうかは大きな課題だ。苦手な科目を中心に、別室で個別に教える「取り出し指導」が有効だが、親の承諾なしには行えない。そうした場合、特別支援学級の教諭や支援員が教室に入る「入り込み指導」が足がかりとなる。

「まずは入り込みによる支援で、児童が成長したという結果を出す。そうすると、保護者も納得して子供の発達障害を受け入れ、取り出し指導を希望することが多い」と特別支援教育で中心的役割をするコーディネーターの村田章子教諭(47)。

同小で入り込み指導を担当するのは、特別支援学級担任も務める村田教諭と、市と国の予算で配置された支援員2人の計3人。通常学級にいる16〜17人の児童が、支援を受けている。

「支援を受けないまま高学年になると、学習面での遅れも大きくなり、いじめにあったり、不登校になるなど二次的なトラブルも起きやすい。なるべく早期から支援した方がいい」と村田教諭。

長野市では、市内の58小中学校に77人の支援員を配置した。支援員はあくまでも担任の補助なので、教員免許は必要ない。

市教委学校教育課の伝田伸剛・指導主事は「高学年になるほど、本人の取り出し指導への抵抗も大きくなるので、より自然な形で支援が受けられる入り込み指導の方が効果的な場合もある」。

子供も親も納得した上での支援が必要とされている。(保井隆之、写真も)