2009年5月14日 読売新聞東京本社 朝刊
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学習する機会を増やそうと、塾や家庭教師派遣会社との連携を進めている。

「『サタスタ』の先生は、大学生のお兄さんです」

5月9日、土曜日の朝。大阪府門真市立北巣本小学校の図書室に集まった児童11人に、市教委の職員が若い大学生2人を紹介した。

「サタスタ」とは、昨年の全国学力テストで府平均を下回った門真市が、市独自事業としてこの日から始めた土曜学習「サタデースタディー」の略。つまずきやすい小学4、5年と中学2年に、毎週土曜日の2時間、無料で学習指導を行う。

大学生2人は、家庭教師を派遣する「トライグループ」(大阪)に登録する大阪大学の1年生だ。

市教委生涯学習課の高橋勝保主査(60)によると、指導役となる教員OBなどの人材を地域内に求めてもなかなか見つからないため、今年度は協力を申し出てくれた「トライ」から、小中22校のほとんどに講師の派遣を受けるという。

算数のプリント問題を配った大学生2人は、児童が質問すると隣に行き、「1リットルと1,000ミリ・リットルは同じ量やねん」などと優しく教えた。

橋下徹知事の方針で、府教委は昨年10月と今年1月、放課後学習に協力してくれる地元や大手の学習塾23社を市町村教委に紹介した。これをきっかけに、様々な形で塾との連携が始まった。

池田市立池田中学校では4月から毎週土曜日、希望者が英語検定対策を学ぶ「ETC(英検トライコース)」を始めた。中学卒業程度の英語力が必要な3級取得を6月の試験で目指す。海外生活の経験を持つ家庭教師が授業を担当し、無料ということもあってか、想定の倍以上の96人が参加を希望した。

横山泰介校長(59)は「学力の高い生徒のニーズに応えられる取り組みもしたかった。ノウハウを学び、来年は独自で続けられたら」と話す。

府教委によると、昨年度は5市の計13小中で塾講師らの派遣事業が試行として行われ、塾は無償で協力した。本格実施となる今年度は、講師1人1回1,500円といった報酬設定が多いが、それでも通常よりかなり安い。

塾側はなぜ協力するのか。

門真など4市に多くの講師を派遣するトライグループの森山真有(しんゆう)専務(36)は「社会貢献、口コミの宣伝効果、担当者の研修効果が期待できる」と明かす。

とはいえ、「点を取るだけの勉強になるのでは」という懸念も一部にはある。「教師がいるのに」といった反発も、教員の間で根強い。

東京都杉並区立和田中学校の校長時代に塾との連携で注目された藤原和博・府教委特別顧問(53)は「大学生などの地域ボランティア、地元の教育資源である教員OB、地元の塾講師というプロが加われば、地域で子どもを伸ばせる」と語る。そして、「いろんな試行錯誤をやって『大阪流』になれば」と期待する。(伊藤甲治郎、写真も)