2009年5月12日 読売新聞東京本社 朝刊
新聞記事の画像

勉強嫌いをなくそうと、様々な手法を試みている。

「ゲームが好きな人は手を挙げて」

4月28日、大阪府池田市立細河中学校で行われた1年生の国語の授業。携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を全員に配った後、山際博教頭(49)が尋ねると、生徒たちが一斉に手を挙げた。

「漢字の勉強には、使い慣れている物で勉強する方法もあるねん。10級から1級まである。挑戦してみよう」

生徒たちは5分間、漢字検定ソフトを使い、タッチペンで画面に漢字や読み仮名を黙々と書き込んだ。尾玉純一朗君(12)は「普段はゲームをしているけど、勉強でもすごく面白かった。どんどん級を上げたい」と喜んだ。

橋下徹府知事が昨年10月に打ち出した緊急対策には、目玉の一つとして、DS学習の調査研究が盛り込まれた。2009年1月から10年度末まで、府内の小中学校各10校にDSを40台ずつ貸し出し、計算力や覚えた漢字数の変化などを調べようというものだ。

細河中は、DS学習の研究校の一つ。「表現の時間」という独自の国語授業(週1回)の毎回冒頭10分をDS学習に充てる。山際教頭は「長時間では飽きるだろうし、これだけで国語力が上がるものではない」とした上で、「紙と鉛筆で学ぶことが嫌になった生徒も『DSなら面白い』という感覚で勉強に入れるのでは」と期待する。

DSを放課後学習に活用している貝塚市立第二中学校の山口均教諭(48)も、「参加者が多くても、DSなら生徒に合わせて問題を出してくれる」と利点を語る。

勉強嫌いをなくすには、その原因を探るのが先決――。そんな発想で行われているのが、府独自の「つまずき調査」だ。教育改革を担う小河勝・府教育委員(64)の大阪市立中学校の教員時代の実践から生まれた。

中学1、2年生を対象に、小学校の各学年で習う漢字の書き取りと計算問題を解かせる。生徒の名前と各問題を縦横に並べた一覧表を作り、できなかったら塗りつぶし、どこでつまずいたかが一目で分かるものだ。昨年度は12月と3月の2回行われ、中学校では291校中99校が実施した。

岸和田市立春木中学校で調査を担当した南川留美子教諭(50)によると、3けたのかけ算の正答率が割り算より低く、意外な発見だったという。「今まではデータがなく、教師の感覚に頼っていた。つまずきがわかることで、授業に生かせる」と期待する。

昨年の全国学力テストに合わせて実施されたアンケートによると、大阪の公立中学生は、国語については19.3%、数学は25.2%が、好きではないと答えた。共に全国平均より4ポイント前後高い。

府教委小中学校課の箸尾谷知也参事(52)は「分かる、できる、もっと勉強したい、というサイクルを作りたい」と話す。

悪循環を断ち切るために、必死の取り組みが続く。(伊藤甲治郎、写真も)