小学生・中学生のためのアイデアノート>6年生向け>[ふしぎ科学館]皆既月食 夕方チャンス

2010年12月4日 読売新聞東京本社 夕刊

[ふしぎ科学館]皆既月食 夕方チャンス(なんで月は形が変わるの?)

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12月21日は、日本全国で3年ぶりに皆既月食 [かいきげっしょく] を見ることができるチャンスです。イカ丸は今からワクワクしています。「月について理解 [りかい] を深めておけば、月食の観測 [かんそく] も、何倍も楽しめるはずよ」。理科子先生のアドバイスを受けて、イカ丸は宇宙 [うちゅう] にくわしい先生のもとへ出かけました。

◆月が地球の影 [かげ]

まず訪 [おとず] れたのは国立天文台 [こくりつてんもんだい] (東京都三鷹市 [とうきょうとみたかし] )。日本中の天文少年・少女の疑問 [ぎもん] に答える天文情報 [じょうほう] センターの渡部潤一 [わたなべじゅんいち] 教授 [きょうじゅ] (49歳 [さい] )が出迎 [むか] えてくれました。

渡部さんは「2010年は1月と6月に部分月食があり、12月は3度目の月食です。日本で次回、1年間に3度、月食を観測できるのは2094年とずいぶん先です。月食自体はよく見ることができますが、3度となると珍 [めずら] しいですよ」と話しました。

イカ丸は「皆既月食と部分月食は、何が違 [ちが] うのでござるか」と、今ひとつよく分からない様子。渡部さんは「どちらも満月 [まんげつ] の時に起きます。 太陽、地球、月の順に一直線 [いっちょくせん] に並 [なら] ぶことで、月は一時的に地球の影 [かげ] に入り、太陽の光が遮 [さえぎ] られて暗くなります。違うのは、暗く欠 [か] ける割合 [わりあい] が、皆既月食では月全体、部分月食では月の一部分という点です」と説明します。

◆北東から東の空

21日の皆既月食は午後4時40分頃 [ごろ] に始まり、午後5時53分頃に終わります。天気さえ良ければ、全国どこでも見えますが、月の出が遅 [おそ] い西日本では、すでに皆既月食になり、月全体が暗くなった状態で地平線 [ちへいせん] に姿 [すがた] を現します。東京でも、月の下部8割 [わり] が欠けた状態でのぼり、すぐに皆既月食になります。

いずれにせよ、この時間帯の月の高度は低いので、北東から東に向かって、ビルなどが少ない開けた場所を選ぶことが観測のコツです。

「ほかに見どころはないでござるか」と尋 [たず] ねるイカ丸。渡部さんは「月の明るさや色の変化に注目して下さい。通常の月食より暗くなるかもしれません」と教えてくれました。

皆既月食では、太陽光の一部は地球の大気で屈折 [くっせつ] して届 [とど] くため、月は真っ暗にはならず、うっすらと赤銅色 [しゃくどういろ] に輝 [かがや] くことが多い。ですが、今年2010年はアイスランドなどで大規模 [だいきぼ] な火山噴火 [かざんふんか] が起き、大量に舞 [ま] い上がった火山灰 [かざんばい] によって、太陽光がいっそう届 [とど] きにくい可能性があるといいます。

◆進む月探査 [たんさ]

月についてもっと知りたくなったイカ丸は、宇宙航空研究開発機構 [うちゅうこうくうけんきゅうかいはつきこう] の宇宙科学研究所 [うちゅうかがくけんきゅうじょ] (神奈川県相模原市 [かながわけんさがみはらし] )に向かいました。 月探査機 [たんさき] かぐや」が月上空から送ってきた美しいハイビジョン映像 [えいぞう] が印象に残っていました。「かぐやの次の計画は、どうなっているのでござるか」。そんな質問に加藤学 [かとうまなぶ] 教授(61歳) は答えました。

「かぐやによって、月に対する理解は大きく深まりました。しかし、月の表側と裏側 [うらがわ] で地形や地下の構造 [こうぞう] が大きく異 [こと] なる点など月の謎 [なぞ] はたくさん残っています。月科学に関する日本の優位 [ゆうい] を保 [たも] つには、かぐやに続く月探査を着実に進めることが大切です」

国の計画では、まず2015年頃に月面 [げつめん] に探査機を送りこんで着陸し、車輪走行型 [しゃりんそうこうがた] のロボットで短期間の周辺 [しゅうへん] 調査を行います。さらに2020年に再び探査機を送り、月の岩石や砂 [すな] を地球に持ち帰る作戦に挑 [いど] みます。ただ、全部で約2,000億円のお金が必要で、まだ実現の見通しが立ちません。

「『かぐや』や『はやぶさ』が与 [あた] えてくれた感動をまた味わいたいわね」

理科子先生の言葉に、イカ丸はうなずいて夜空を見上げました。 [佐藤俊彰]

◆月誕生 [つきたんじょう] の有力説 「地球に天体衝突 [しょうとつ]

月が誕生 [たんじょう] したのは約45〜46億年前、原始 [げんし] 地球が生まれた直後と考えられています。月の起源 [きげん] には主に4通りの説がありますが、原始地球に火星サイズの天体が衝突 [しょうとつ] し、飛び散った破片 [はへん] が集まってできたという「ジャイアント・インパクト説」が有力です。衝突から1ヶ月程度で月の90%ができあがったという計算結果もあります。

月の半径 [はんけい] は約1,700キロと地球の4分の1にも及 [およ] びます。太陽系 [たいようけい] のほかの惑星 [わくせい] 衛星 [えいせい] の関係と比較 [ひかく] すると、非常に巨大 [きょだい] な衛星と言え、地球にも大きな影響 [えいきょう] を与えています。

代表例が月の引力による潮 [しお] の満ち引きで、海水の移動に伴 [ともな] い、地球の自転には、わずかながらブレーキがかかり続けている。このため、10億年後には1日は31時間に延 [の] びるとの推計 [すいけい] もあります。現在、平均38万キロの地球と月の距離 [きょり] も、毎年3〜4センチずつ広がっています。

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